のうが高原は広島県廿日市市の野貝原山にあった休暇施設である。
1965(昭和40)年、廿日市観光農園として開業。
1971(昭和46)年に「のうが高原」に改称、「のうが高原ホテル」や別荘、遊園地などが建設された。ホテルには盤座を利用した大規模な岩風呂や、江戸風呂など多くの温泉施設も作られた。
下の写真は、1974年以降に撮影された、のうが高原である。

複数棟立ち並んだ建物と、その周辺もきれいに整備されており、大規模なレジャー施設と言えるだろう。
当時は年間30万人以上が訪れていた。

1973(昭和48)年のオイルショック以降、施設の建設を急いだため建設費が多額にのぼり、それに加えて80年代には観光客が減少。宿泊室数も28室と少なく、頼みの綱であった日帰り客も少なかったため、1986年に倒産、あえなく開発は失敗し周囲一体はそのまま放置された。
下の写真は1987年以降に撮影されているが、1974年当初と比べ、整備されていないことが分かる。

【のうが高原】として営業していた1971年から1986年のわずか15年間で、81億もの負債を抱え倒産した。
閉業後、建物群は巨大な廃墟と化し、とりわけ巨岩を活かした浴場は廃墟ファンの間で知られた存在となった。
のうが高原は、野貝原山の山頂に建設されたが、この山一帯の山中には、タイル状の石が20枚も張り付いたや、東西南北を指し示す方位石等、およそ10基もの奇怪岩が点在している。

不思議なのは、これらの巨石群の岩質がこの山のものではないということが分かっている。
どこからか運ばれてきたものなのだろうか。とても神秘的な逸話が、この廃墟と共に残されている。
のうが高原はその後、2007(平成19)年になり改修工事が行われたが、再利用されることはなかった。
2019年に入って解体工事が始まり、2019年12月時点でホテルの1階部分は完全に解体され、残りの地下部分も解体中となっている。ホテル真向かいにあったゲームセンター跡は完全に撤去され、プール、人工池、リフト、牧場があった場所は伐採、整地されて、その後にメガソーラーが設置された。
建物は荒廃し、当時あった周辺施設は見る影もなくなっている。
全て解体されても、ここにあったことは忘れないでいたい。
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