地図から消された村として有名な【犬鳴村】ですが、1990年代ごろからと都市伝説として話題となりました。
2020年に映画化され、また取り上げられることが増えてきた伝説ですが、犬鳴村は存在しているのでしょうか。
また、歴史的背景も併せて考察していきます。
犬鳴村の概要
旧犬鳴トンネル付近にあるとされる村で、入口に『コノ先、日本国憲法通用セズ』と書かれた看板があると言われています。
旧犬鳴トンネルは犬鳴隧道の通称で、以下の地図あたりにあるトンネルです。1975年に『新犬鳴トンネル』が開通して以来、実質的に利用されることが無くなりました。
旧犬鳴トンネルは存在しますが、犬鳴村は伝説となっており現在でもその存在は確かではありません。
犬鳴村伝説の影響か、旧犬鳴トンネルは現在も【日本最恐の心霊スポット】と言われています。しかし現在は、道路も整備されておらず通行禁止となっておりますので、許可なく立ち入ることはできません。
この犬鳴村では、数々の言い伝えがあります。中でも有名なものを抜粋しました。
- 古びた小屋が並んでおり、周囲に死体が積まれている
- 斧や釜を持った村人が襲い掛かってくる
- 村人は異常に足が速い
- この村では、携帯電話が圏外になる
- 外部との交流を一切せず、自給自足の生活をしているため、地図にも載っていない
等の伝説が言い伝えられています。
旧犬鳴トンネルが心霊スポットになったのはなぜ?
旧犬鳴トンネルは1884年~1885年にトンネル掘削工事が着手されましたが、工事技術の未熟さと莫大な工事費を要したため一時中止なりました。それから40年以上の時を経て工事が再び着手されることになり、1949年に開通しました。
その後1975年には変貌著しい社会のニーズに応えるために新犬鳴トンネルが開通し、こちらが実質的な福岡と北九州を結ぶ幹線道路となったので、旧犬鳴トンネルは使われなくなっていきました。
その後、旧犬鳴トンネル付近でおぞましい事件が起こったことが、以降心霊スポットになるきっかけになったのではないかと言われています。
それが、1988年(昭和63年)12月7日に起こった、犬鳴峠焼殺事件です。
犬鳴峠殺傷事件は、旧犬鳴トンネル近くの路上で、4人の未成年が車欲しさに、持ち主の20歳の青年を車ごと拉致、凄まじい暴行を加えたあげく、ガソリンで焼き殺したという事件です。
時代が昭和から平成に移りつつあった80年代末期は、未成年による犯罪が一挙に凶悪化した時期でもあり、同年2月には、名古屋市で未成年らによるアベック殺人事件が起き、東京都綾瀬の女子高生コンクリ詰め殺人もこの時期に起こった事件です。
その後、90年代以降も新犬鳴トンネル付近での事故が多かったようで、いわくつきの心霊スポットと言われるようになっていきました。
それから数十年以上経過して、2020年に映画【犬鳴村】が大ヒットしましたが、裏付けのある不気味さとロマンにより、廃れることなく言い伝えられているのではないかと思います。
犬鳴村伝説が生まれた背景
犬鳴村伝説はなぜ生まれ、有名になったのでしょうか。
それは、時代が大きく関係しているのではないかと言われています。
1999年に電子掲示板、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)が開設されましたが、その直後に『犬鳴峠』のスレッドが立ち、瞬く間に拡散されてきました。
投稿者によると、
犬鳴峠のあぜ道の先には地図にない村があり、「この先、日本国憲法つうじません」といった立て札が掲げられている。知り合いが車で訪れた際「キレた(イった)目」をした4、5人の男に斧を持って追いかけられた。「プレハブ小屋」や「ボロボロの木で戸を打ち付けられた家」を見た知り合いもいる。そこは「江戸時代以前とても酷い差別を受けていていつからか外界との接触を一切断」った村で、現在もなお「警察や国家権力の介入ができない『特別なんとか保護(?)地域』になっている。
このスレッドが立ったのは1999年10月30日で、この段階ではまだ福岡近郊のローカルな噂にすぎませんが、このスレッドで、犬鳴村にまつわる伝説の基本形態はつくられていきました。
当時、犬鳴峠付近には数多くのホームレスの方々が生活していたと言われています。
小屋を構えたり、ブルーシートでテントを張り生活しており、時には食料を得るために山狩りをしていたようです。
肝試しをした若者が、そのホームレスを見て勘違いをしたのではないかというのが、伝説の始まりではないかと言われています。
インターネット黎明期で、新しい文化・時代が始まろうとする時代にマッチした都市伝説だったから、この話が広まったのではないでしょうか。
また、隠された村がどこかにあるかもしれないというロマンで今でも廃れない都市伝説となっています。
犬鳴峠殺傷事件から10年以上経過し、事件が起こったという薄気味悪さが、不気味でリアリティのある恐怖があったのではないでしょうか。
まとめ
旧犬鳴トンネルは実際の事件が火種となって、最強の心霊スポットとして有名になり
犬鳴村伝説は、当時のホームレスが原型となり、ネット普及時代に相まって有名となりました。
最恐心霊スポットとしての旧犬鳴トンネル、そして架空の犬鳴村は、多くの偶然が重なったからこそ今でも語り継がれるのではないでしょうか。
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